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2015年11月27日金曜日

福井の片膝背負い禁止ルールについて おやじ柔道(105)

前回のおやじ柔道(104)はわけあって没にしました。
他者に迷惑をかける恐れがあると判断したためです。
もう遅いかもしれませんが。 

 ところで、少し前、いつものように遠征の後みんなで夕食を一緒にした際、酒の勢いもあって指導者の先生達と柔道の指導方針について突っ込んだ議論をしたことがありました。
福井県が片膝着きの背負いを認めていない件についてです。


この片膝禁止ルールについては、そうなったいきさつの詳細は自分は知らないのですが、全国でもこのルールで試合を行っている県は福井だけといういささか特殊な状況になっています。
数年前からこのルールが採用されているようですが、他県から参加選手が多数ある場合などは片膝OKで試合が行われるという感じで、統一感がまるで無いのです。


当初このルールが提案された当時、全国的にも大変良い事と称賛されたそうですが、その後何年経っても追従する県が現れてこないのです。
それどころか、福井県においても片膝すれすれの低い背負い投げを、小型選手に指導する指導者が増えてきた感があります。
要するに股に潜り込む背負い投げです。


背負い投げは大きく分けて二種類あると思います。
相手を大きく引出して後ろ回り捌きで担ぐ背負い投げと、相手の股に滑り込むように踏み込みつつ前回り捌きで膝をついて折り曲げた体の反動と、高低差を利用して相手を前方に投げ落とす低い背負い投げです。


福井県では前者しか認めないという事になりますが、小さい子が大きい子を手前に引き出す事自体、無理があるのです。
簡単な物理の法則です。
重い物と軽い物が加速度を付けずに引き合うと、軽い物は重い物に引き寄せられる結果となります。
すなわち軽い方が重い方に対して一方的に引く力を加えても、自らの引く力で重い方に引き寄せられることになります。
小さくて軽い者が大きくて重い者を手前に引き出して後ろ回り捌きで投げる事は、かなりの勢いをつけて下がるか、相手が自ら前に出てこない限り無理なのです。

試合では当然、技を警戒して大きい者は前に出てくることはしません。

以前は腰を引いて腕だけ伸ばして、ちょこまか動き回る小兵選手を掴み止めることに躍起になる大きな子の姿があちこちの試合で見られたものでした。
今、福井県では少年大会で大型選手と小型選手の試合を見ると、大型選手は恐れることなく前へ出て相手を捕まえようとします。
小型選手は何とか膝をつかずに前回り捌きで低く入ったり、相手の出鼻に合わせて担ごうとしますが、苦戦は否めない所です。

他県勢の参加する大会ではこれが一変して、小型選手が片膝背負いと小内巻込みで福井県の大型選手を次々と破っていく姿が見られたりするのです。
この状況は如何なものでしょう。
福井県の少年柔道選手は、県内の試合と全国大会とで二通りの戦い方を使い分けねばならないのです。

少年柔道の世界は今や大人顔負けのシビアな世界です。
限られた時間の中で上を目指そうと、日夜しのぎを削っていると言っても過言ではないでしょう。
そんな中、福井県の子だけが二通りの戦い方を磨かざるを得ないとなると、時間的にも大きなハンデを被る事になるのではないでしょうか。

また、膝着き背負いだけを禁止すると、大型選手にとって著しく有利になる事は明らかです。
同じ禁止条項の「無理な巻き込み技」:軸足のバネを利かすことなく、体を利用して倒れこむようにして巻き込んだ技をいう - これを厳しく取り締まらねば平等とは言えないでしょう。

しかも膝着き背負いの場合、国内における「少年大会」申し合わせ事項に「両膝を最初から畳について背負い投げ等を施す事」が禁止となっており、技が崩れた結果である場合は反則としないとなっています。
要するに蹲踞(そんきょ)の状態から両膝を突いた場合は反則ではなく、正座の状態で技に入った場合が反則であると理解できるのではないでしょうか。

「そんな細かい事はどうでもよい。低い背負いで頭から落ちるのが危険だから禁止なんだ。」そんな声が聞こえてきそうです。
では巻込みは危険ではないのか。
頭から落ちて頸椎を損傷することに比べれば、危険度は低いと言えるかもしれません。

また、巻き込みの場合は試合の流れからそうなる事が多く、それを反則と言ってしまうと試合自体が成立しないと言う人もいます。
しかし、最初から明らかに巻き込んで体を浴びせて投げている選手が多いのも事実です。

膝着き背負いの禁止と巻き込みの禁止。
この二つを徹底してこそ平等といえるのかもしれませんが、そうなると柔道でなくなってしまう可能性がありますね。

片膝背負いについて肯定するか、否定するか。
そろそろ結論を出す時期に来ているのではないでしょうか。
それとも福井ではずっとこのままいくのでしょうか。

福井県だけが特殊なルールすなわち一方にのみ利益をもたらす偏ったルールのもとに試合を行っているという状況が、これ以上続くのは好ましくないと思います。


言いたいことを久しぶりに書いたので少しすっきりしました。

このへんで。







2 件のコメント:

  1. 初めまして。
    柔道の膝着き背負いを検索してましたら、こちらのブログに…。
    ご指摘されているようにあの投げ方は、非常に危険です。
    私は高校時代に柔道部に所属しておりましたが、顧問の先生から禁止されていたように思います。 オリンピックなどでも見ますが、相手の首に損傷を与えかねないと思います。どうして認められているのか、不思議なくらいです。技としても有効な技というより、卑怯な技にしか思えないです、私には。

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  2. 久しぶりにブログをチェックしたらこのコメントを見させていただきました。今更ですがあれからいろいろ考えましたので、コメントを返してみたいと思います。競技性を重視するならば、理にかなった有効な技であると思います。現に大人で背負い投げを使う場合、圧倒的に膝着きが多いのはご存じのとおりです。ただし小中学生の場合、教育性を重視するならば危険性のある膝着き背負いは禁止が望ましいでしょう。技としても有効な技というより卑怯な技にしか見えないというのは、掛け逃げに使用した場合ですね。引手が切れなくても明らかに投げる意志にかけた時間稼ぎ目的が明らかな膝着き背負い潰れには反則を取るなどのルール改正が必要と考えます。何を持って投げる気が無いと見なすのかその見極めが難しいですが。小をよく大を制す、そんな夢を実現したのが膝着き背負いですが、使い方次第で見方も大きく分かれるところだと思いますが。

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