一般に言われる中耳炎とは急性(化膿性)中耳炎を言います。
この急性中耳炎とは鼻咽腔に付着した細菌が耳管という耳と鼻をつなぐ管を介して中耳腔に感染しおこります。幼児では耳管が成人と比べて太く短く、水平に近いため中耳炎になりやすいといえます。
また、幼小児の鼻咽腔には肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスといった急性中耳炎の起炎菌が高い確率で存在しており、これらの細菌が風邪などのウイルス感染で粘膜の働きが障害されると増殖して急性中耳炎を起こす機会が多くなります。
さらに近年、これらの原因菌の中に抗菌薬が効きにくい薬剤耐性菌が急増しておりこれも急性中耳炎を反復したり、治りにくい原因の一つとなっています。
また、急性中耳炎を反復する原因として子供の抵抗力、すなわち免疫力も大きく関係しています。乳幼児期には血液中の免疫グロブリン(おもにIgG)が健康児でも年長児に比べ低値です。生後6か月までは母体からの移行免疫が残っているので高値ですがその後3歳になるまで最も低い時期となります。そのため感染症を免疫力によって抑えることができずに副鼻腔炎 → 中耳炎を繰り返すことになります。
免疫力が低いうちは感染症にかかりやすいので人ごみや、保育園などの集団保育に入れるのは中耳炎を繰り返す子供の場合あまり良いことでは無いのですが、共働きなどの家庭環境で集団保育を余儀なくさせられる場合もあり難しい社会問題でもあります。
下の二つが中耳炎の鼓膜で、膿が溜まっています。ちなみにこれは同一児の鼓膜です。この患者さんは当初鼓膜切開を繰り返しましたが現在は完治ではないものの落ち着いた状態を保っています。
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